原点、Made in Japan シンガポールチャレンジ

2012年の創業当時、実績も何もない状態のKCmitFに仕事を依頼してくださった勇気あるクライアントさんの一つが有田焼・波佐見焼の産地商社のキハラさんでした。きっかけは起業直前まで務めていたenFactoryの取り組みとして企画から運営を取り仕切っていた「Made in Japan シンガポールチャレンジ」にキハラさんが参加されたことからはじまります。

キハラさんは2000年代に入る前から海外展開への挑戦を続けて来た有田の産地企業で、様々な経験を積んだ上でシンガポールへの市場へも挑戦をするという状況でした。当時の私とは比べ物にならない海外展開に関しての実績があった訳です。それに対してKCmitFとして提示していた企画趣旨は、「商業見本市での反応ではなく、エンドユーザーの評価が直接得られるローカルでのPop-upを共同出展による低コストで実現する」というものでした。この企画コンセプトが生まれる経緯に関してはまた別の機会にJournalに致しますが、今回はこのイベントからの学びについて書いていこうと思います。

イベントの成果に関しては出展企業によりまちまちだったのですが、キハラさんに関しては期間中の売上はなんとゼロでした…。その理由は後にはっきりわかるのですが、「ロケーションが最適では無かった」に尽きます。同じ生活関連商品でも、Made in Japanのくくりが有るにせよ場の集客にフィットしたものが売れる訳です。もう本当に当たり前なのですが、その当たり前の事実に私もキハラさんも当時はがっかりした訳です。

イベントの状況を鑑み、キハラさん達はシンガポールで少しでも可能性のある取引先を求めて奔走し、私は現場にいて購入しない人でも接客を通じて何が障害になっているかの情報を収集する事に努めていました。そんな最中に出会ったのが、Supermamaを立ち上げてちょうど1年少し経った頃のEdwinでした。子供の習い事の送り迎えの帰りか何かに暇つぶしで立ち寄ったと言う全くの偶然。そう言う意味では「ロケーションは最適だった」のかもしれません。

Edwinとの初めての会話で、どうしてこんなイベントを企画したのか?シンガポールで一般的に流通している商品と同じなのに価格が少し安いのは何故か?を彼は私達に質問し、自分もショップを経営していることを伝えてその日は去っていきました。

後日彼のショップを訪問し、何の為にシンガポールに来たのかと言う話や、日本のものづくりの話、自分の事業ミッションなどの話をして、その場では具体的なことは何一つ決めて帰国の途につきました。その時点ではSupermamaの存在はシンガポールでの取り組み先候補の一つで、まだまだ他の可能性も模索しながら次回の展開を企画してという状態だったと思います。

その後、キハラさんと相談してイベント用の在庫をシンガポールに置いて帰ることにしたのですが、帰国して間も無くその商品をSupermamaの新店で販売したい、して欲しいとお互いの思惑が一致したのはきっと偶然では無かったのだろうと思います。ここでKCmitFは両者の思惑を結びつける、最初のコーディネートを結果的に成した訳でした。外国人、初めて出会う何も知らない相手、海を超えた距離、言葉の壁と冷静に考えるとただでさえ簡単ではない商談にこれだけの難易度が加わる訳ですから、一対一で相対した場合、双方やはり警戒心Maxからコミュニケーションがスタートする訳です。一方で相手の真の実力や思いなどの初見では見えてこない部分も継続するやり取りの中からは見えて来ます。この時のコーディネートで学んだことは、まさにやりとりを重ねることで見えてくる双方の心境変化でした。両者の最適解を見極め、熱量を維持しつつ着地点にナビゲートし、具現化までをサポートするのがコーディネートだと幸運にも実感できた分けです。そして、この時の原体験があってこそ今に至るのです。

その後、Pop-upで全く売れなかった商品が一晩で驚くほど売れ、その数ヶ月後には初めてのコラボレーション商品のSingapore Iconが送り出され、その年の暮れにコラボレート商品はSingapore design awardを受賞すると言う奇跡的な物語に繋がっていくのですが、その話はまた別の機会にお伝えしようと思います。

企業情報

株式会社エンファクトリー

-オンラインショッピング事業・ギフト事業
-専門家マッチング事業
-プロジェクト開発受託事業・地域支援事業
-人材/組織開発支援事業
-その他インターネットサービス事業

株式会社キハラ

有田焼・波佐見焼の商品開発、OEM、卸、販売

参考リンク

エンファクトリープレスリリース 2012/08/09

デザイン情報サイト[JDN]:海外との商品開発に挑む有田焼 Supermama × KIHARA「シンガポールアイコン」プロジェクトhttps://www.japandesign.ne.jp/report/150527_supermama_kihara.html

日本経済新聞:陶磁器の古都 世界に挑む(熱撮西風)2018/6/6
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31305920S8A600C1962M00/

↑記事内の動画がとても良くまとまっています